'森の奥には、妖精族である、“シオダイフク”が住んでいます'

'…………はい?'

'森の奥には、妖精族である、“シオダイフク”が、'

'うん、わかったっ'

のんきに反復するミンを元気の良いお返事で止める。でも“塩大福”って……。なにそれ?どんなキテレツな生物なんだと考え、ふと思い出して気付く。

私はのような悪魔は……と言うか精神界の住人は、言語を理解するのではなく、声に含まれる意思を感じ取り、意味のある“言葉”として理解する。

この世界特有の固有名詞ならそのままの【音】で聞こえ、例えばリンゴを意味する単語なら私の耳にもリンゴと聞こえ、私がリンゴと発音すると、それが【精霊語】より上位の言語である【神霊語】となって、唇が勝手にこの世界の単語を発する訳なのです。

……と、以前、魔界で【彼】が教えてくれた。

大変便利なのだけど、文字になるとちょっと困る。

読むのは問題ない。見つめると文字が並び替えられて知っている言語に変換される。最初だけその変換があるけど、一度見た単語は結構すらすら読めるんですよ。

だけどダメだ。書くのはダメだ。文法を理解してないのが致命的。

これは文字をひとつひとつ覚えて、書いた文字が変換されるのを文を見ながら修正していくしかない。面倒くさい。

そんな訳で私は“言葉”を理解する為に【言語変換】能力を少し下げて、勉強していたことを思いだした。

私は【言語変換】を元に戻し、ゆっくり“塩大福”と声にする。

'…エルフ…'

なんでだよ。

そうです。この世界には“エルフ”が居るのです。

話に聞くだけならエルフは、私の知識にあるエルフとそんなに変わらないように思えるけど、この世界の“常識”は油断ならない。

ちなみにドワーフも居た。

固有発音は“モチプルン”で“塩大福”よりマシだね。……ん?マシなのか?凄くどうでもいいけど、身長は2メートル以上あるらしい。

どちらも人里離れた処に集落があるので、簡単に出会える事はたぶん無いでしょう。そうであれと切に願う。実際出逢ったら顔を見た瞬間、爆笑するから。

この国のことも教えてもらった。

聖王国・タリテルド。王都とその周りにある五つの周辺都市全部で、七百万人程も住んでいるらしい。多いのか少ないのか分かんないけど。

そしてここは、西にあるトゥール領。この街だけでも数十万人は住んでいる。

この領から一歩も他に出ずに一生を終える人も居るらしい。

他にも沢山の国があるみたいだけど、隣の国でも馬車で一ヶ月程度は掛かるらしいので、出来ればあまり行きたくないなぁ。

'ユル様ぁ、遠くの国には【魔王】もいるんですよー'

'ま、まおぅ?'

……ファンタジーですねぇ。

すんごく遠くに【魔族】が住んでいて、魔族の国がいくつかあるっぽい。

魔族が住むのは魔界なのでは?と思ったけど、普通の土地に住んでいるんだって。

ちょっと勘違い。見た目が普通の人と違うから悪魔みたいな奴=【魔族】って蔑称で呼ばれている“人種”の一つらしい。失礼だな。

でも蔑称に違わず、気が短くて戦争ばかりしているとか。少しは落ち着きなさい。

最後に、人間側に攻めてきたのは数百年前だから怖くないよ。って、ミンが頭を撫でてくれたけど……、それ、何の保証にもなってないよ?変なフラグ立てないでよ。

'ユル様は、お魚さんが好きですねぇ'

'うんっ'

実はそれほど好きではない。

うちのお屋敷は保養地みたいな小高い丘の途中にあり、塀の向こう側に小川が一本流れているのです。

そこでは、庭師兼護衛のフランツさんがのんびりと釣りをしています。

……お仕事は?

お仕事は、庭の手入れや護衛の仕事ですが、釣りも一緒にしているんですよ。フランツさんは釣りが大好きで、一日中川で過ごすこともあります。私もよくフランツさんの隣で遊んでいるのですが、実は私はお魚さんが好きではありません。

でも、フランツさんが釣ったお魚を見ると、とっても美味しそうに見えるんですよ。だから、お父様やお母様と一緒に食べるのが楽しみなのです。

でも、お魚さんを釣るのは難しいみたいで、フランツさんもたまに魚が逃げられてしまうことがあります。でも、それでも楽しそうに釣りをしている姿を見ると、私も一緒に頑張ろうと思うんです。

フランツさんは私のお兄さんみたいな存在で、いつも優しくしてくれます。お魚さんを釣るのが上手なのも、フランツさんのおかげだと思います。

あ、そうそう、フランツさんが釣ったお魚さんを使って、お母様が美味しいお料理を作ってくれるんですよ。お母様の手料理はとってもおいしいので、私もいつも楽しみにしています。

お父様やお母様、フランツさんとの日常はとても幸せで、楽しい時間を過ごしています。三歳になってからは、ますます色々なことが分かるようになり、成長している自分を感じることができます。

これからも、お父様やお母様、フランツさんと一緒に笑顔で過ごせるように、私も頑張ります。幸せな日々が続きますように。

3歳のユル様の華麗な日常 - 妖精、エルフ、そして釣り人フランツ

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