王宮からの依頼!?| 街角探偵と相棒の物語
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昼下がりのコーヒーブレイク。本日の天気は曇り。いい天気だ。それを以前、つい口に出してしまったら相棒のイリスに『曇ってますけどぉ?』とつっこまれてしまった。私には理解できない。何故いい天気というと決まって晴れを指すのだろう。晴れは暑いし、肌は焼ける。一方、曇りは涼しくて快適だ。街もグレーのフィルターがかかったように暗く染まっていてそういう景色も私は大好きだ。イリスにそう説明したら『いや先輩、曇りの方が紫外線やばいですから』と半笑いで返されてしまった。もう二度とあいつにこの話をすることはないだろう。 コーヒーを飲みながら窓から街の景色を眺める。これが私のルーティン。至高の時間。
『先輩ってぇ、いっつもこの時間になるとうっきうきですよねぇ』 『……別にそんなことないと思うが』
突然、背後から内心を言い当てられ、恥ずかしくなってしまい咄嗟に否定した。振り返ると、声の主であるイリスが大きな黒いリボンで二つに縛った灰色の髪と白いワンピースを揺らしながらにっこりとこちらを見つめている。なんだこいつ。ついに思考盗聴まで身に着けたか。 私が否定してもイリスは満面の笑みのまま、人差し指を指しながら『それ』と一言。指が指されているのは私。……ではなく私の尻尾だった。黒いふさふさの尻尾がぶんぶんと元気に揺れていた。
『クールに見えてそういうトコ抜けてますよねぇ』
顔が真っ赤になる。否定したせいで余計に恥ずかしい。 イリスはいつもこうだ。私をオモチャにして遊ぶのが好きなのだ。いつもいつも私を辱めて楽しんでいる。昨日なんて私の大嫌いな虫のオモチャがデスクの上に置いてあって悲鳴を上げてしまった。一方イリスはそれをみて大爆笑だ。
『お前には先輩を敬うという気持ちがないのか?』 『もちろん敬ってますよぉ~。私の口調で分かるじゃないですかぁ。敬って語ると書いて敬語ですよ』 『いやお前、その喋り方誰に対してでもするだろう』 『えぇぇ~~なんのぉことですかぁ~?私ぜんぜんわかんないですぅぅ~~~~』
……うざ。いつもの1.2倍くらいうざい。アベレージが高いからこんなにわざとらしく喋っても1.2倍程度で済んでいる。 イリスと仕事を始めてから毎日のようにこんな調子だが全く耐性が付かないのは何故だろうか。おそらくイリスが毎日毎日うざい方面でアップデートしてくるからだろう。余計なアップデートばっかりしてきて……そういうのはツ〇ッターで間に合ってるというのに。
そんな事を考えているとコン、コンと窓の方から音が鳴る。目をやるとそこには白いフクロウが私の事務所の窓を叩いていた。
『わー!待て待て待て!』
この事務所、改装してから間もないんだぞ。そんなに強く叩いてたらピカピカの窓が傷だらけになってしまう。お金だってそんなに余裕はないのに。待ってくれ、今開けるから。 急いで窓を開けるとバサバサとフクロウが勢いよく事務所にお邪魔してきた。
『使い魔、だな』 『使い魔以外のフクロウが街中にいるとおもいます?ほら、おいで』
そういうと、フクロウは素直にイリスが示す方に向い、大人しく彼女の用意した止まり木で羽を休めた。 初対面の使い魔とでもこうやって上手くコミュニケーションをとれるのはイリスが扱う魔法が故なのだろうか。イリス自身もヒトより使い魔とコミュニケーションをとる方が上手い気がする。話しかけるときも声色から優しさを感じる。その優しさをもう少しだけでも私の方に向けてもらう事は出来ないものだろうか。
『……脚に通信筒が着いてるな。……失礼して、と……って痛っ!痛いっ!』
フクロウの脚の通信筒に手を伸ばそうとしたところ、クチバシで私の指は撃退されてしまった。いやいや、フクロウさん。君はその手紙を読んでもらう為にここに来たんじゃないのか。それを妨害するなんてどういう了見なんだ、この使い魔は。 -2-
『ごめんなさい、フクロウさん。私の指、痛いですか?』 『フクロウさんには痛くないでしょう。でも私は痛いですよぉ~』 『先輩、フクロウさんに謝ってる場合じゃないですよぉ~』 『そうだな、ごめんなさい。フクロウさん、私の失礼でした』 『ふくぅ~』 フクロウさんは頭を少し傾げた後、クチバシで通信筒を差し出してくれた。手紙が入っているのだろうか。早速、手紙を取り出して読んでみることにした。
『……あれ?これは……』
手紙の内容に驚いた。なんと、私たちの事務所に依頼が舞い込んでいるらしい。しかも、なんとその依頼主は王宮からのものだという。私たちの小さな事務所に、なぜ王宮からの依頼が来るのだろうか。イリスも私と同じく驚いた表情を浮かべている。
『先輩、なんで王宮からの依頼が……』 『それはわからない。でも、これは大きなチャンスだよ』 『チャンスですか?』 『そうだ。私たちの仕事が評価されているんだ。この依頼を成功させれば、もっとたくさんの依頼が舞い込むかもしれない』 『そうですね。でも、王宮というだけで緊張しますぅ~』 『緊張するのは当然だ。でも、私たちはきっと大丈夫だよ』 『はい、がんばりましょうねぇ~』 イリスは少し緊張気味だが、やる気に満ちた表情を見せてくれた。私も彼女と同じく、この依頼を成功させるために全力を尽くす覚悟だ。
『フクロウさん、返事をお願いします。私たちはこの依頼を引き受けます』 『ふくぅ~』 フクロウさんは頷きながら、通信筒を受け取ってくれた。私たちの返事が伝わったのだろうか。どんな依頼なのか、詳しい内容はまだわからないが、私たちにしかできない仕事なのだろう。王宮からの依頼なんて、私たちにとっては初めての経験だ。
『先輩、この依頼、どんな仕事なんでしょうねぇ~』 『それはわからない。でも、きっと私たちの力を必要としているんだろう』 『そうですね。私たちにしかできない仕事なんですねぇ~』 『そうだ。だから、私たちは頑張るんだ』 『はい、がんばりましょうねぇ~』 私たちはお互いに力を合わせて、この依頼を成功させることを誓った。王宮からの依頼なんて、私たちにとってはまさに夢のようなチャンスだ。私たちの冒険が始まるのだ。
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